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- ドクターズインタビュー

医師を目指したきっかけを教えてください

もともとは学校の先生に憧れていました。映画が好きで、特に学園を舞台にした作品に心を動かされ、最後に生徒たちに囲まれて慕われる教師の姿に魅力を感じていたためです。しかし、中学2年生の夏、自転車で走行中に車と接触する事故に遭い、約1ヶ月の入院を経験しました。命に関わる大きな事故でしたが、その際に担当してくださった医師の姿が深く心に残りました。今でもお名前やお顔を鮮明に思い出すことができます。「この先生の存在を生涯忘れることはない」と感じた出来事でした。この出来事を通して、医師という職業の持つ責任と、人の人生に大きな影響を与える力に強く惹かれ、進路を大きく変える決意をしました。その後は医学部合格に向けて勉学に励み、無事入学することができました。

なぜ耳鼻咽喉科を選ばれたのですか?

医学生としてさまざまな診療科を学ぶなかで、最終的に耳鼻咽喉科を選んだのにはいくつか理由があります。幼い頃から喉が痛むたびに耳鼻科へ通っていた経験があり、当時の医院名を今でも覚えているほど、自分にとって身近な診療科でした。
また、年齢や性別を問わず幅広い患者さまに関わりたいという思いがあり、診察から治療、さらに手術まで一貫して対応できる点にも魅力を感じました。薬だけで完結するのではなく、自らの手で治療の道筋をつくることができる。その特徴が、自分の志向に最も合う診療科だと感じ、耳鼻咽喉科を選びました。

医師として
一番大切にしていることは何ですか?

若い頃、先輩医師に「医師として最も大切なものは何だと思う?」と尋ねられたことがあります。当時の私は、手術の技術や患者さまへの寄り添い方などを答えましたが、「もちろんそれも大事だけど、一番大切なのは正しい診断をすることだ」と言われました。その言葉に深く納得し、それ以来ずっと心に刻んで診療に向き合っています。
診断さえ誤らなければ、治療の道筋は必ずあります。
自分で治療できるものは責任をもって治療し、専門性が必要であれば適切に紹介することができます。しかし、診断を誤れば治療の機会を逃し、場合によっては生命に関わることさえあります。
患者さまに寄り添う姿勢や、処置や手術の技量はもちろん大切ですが、私の大切にしてきたことは「丁寧な診察と検査で正しい診断をすること」です。この信念が、今の私の診療の軸になっています。医師は人間であり完璧ではありません。一度の診察で必ずしも正しい診断ができるとは限りません。
しかし、少しでも自分の診断に違和感や不正確さを感じている場合は、可能な限り再診をしていただき病状を観察させていただきます。また治療効果が十分ではなかったり、説明された疾患とは違う経過や症状が出るような場合も同様に再診させていただき再度精査し診断を検討させていただくように心がけています。

開業を決意されたのはいつ頃ですか?

開業したい気持ちはありましたが、長い間、自分にはまだ十分な経験がないと感じていました。
耳鼻咽喉科の診療は、知識だけでなく「実際に患者さまを診た経験」が診断に直結します。
多くの症例を経験することが、開業の重要な条件でした。
転機になったのは2017年です。総合病院で耳鼻科を一人で担当し、すべての判断を自分で担う環境になったことで、責任と向き合いながら診療する経験を積むことができました。この期間に得た臨床経験が大きな自信につながり、「開業しても患者さまに安心し満足していただける診療ができる」と思える基盤が整っていきました。

おひとりで診療する中で、
適切な診断をするために
どのような工夫を
されてきたのですか?

一人体制の勤務では他の医師と相談する機会が限られるため、診断が正しかったかを自分で確認することが大切でした。幸い総合病院では耳鼻咽喉科以外の診療科でも通院されている患者さまが多くおられました。そこで、そういった患者さまに 例え軽症の疾患であっても 他の診療科を受診したついでに再診していただくようにいたしました。薬の効果や症状の変化を直接確認することで、診断や治療方針の妥当性をきちんと確かめることができました。
診療では「患者さまのお話を丁寧に聞くこと」を大切にしています。
症状の変化、困っていること、違和感などを率直に伝えていただくことが、正しい診断をするための何よりの手がかりになります。
再診でいただく「ここがまだ良くならない」という声は、診療の質を高める貴重なフィードバックです。その一言を大切にしながら、追加の検査を行ったり治療を見直したりして、ひとりでも多くの方に適切な医療を届けたいと考えています。
こうした積み重ねを経て、自分の診療に自信を持てるようになり、「今なら患者さまに安心し信頼していただけるクリニックを開業できる」と思えるようになりました。

城東区で開業しようと
思われた理由は何ですか?

開業場所を決めるうえで、「必要としていただける地域で診療したい」という思いがありました。城東区は新しいマンションが増え、若い世代が多く暮らす一方で、昔から住み続けている方も多い地域です。幅広い世代が混ざり合う街であることは、人と関わることが好きな自分にとって大きな魅力でした。
また、都心へのアクセスが良く、公園も多いなど住環境にも恵まれており、成熟した地域であり今後も発展していく可能性を感じます。城東区には「暮らしやすさ」と「地域としての成長」の両方があります。多様な世代の方々と関わりながら貢献できる場所として、この地での開業を決めました。
診療で大切にされていることを教えてください

診断の確実性を高めるために

患者さまはとても正直です。薬が効かなければ、治らないまま他院へ移られることもあります。その場合、医師側は「治ったのだろう」と誤って解釈してしまい、実際には改善していなかった事実に気づけません。
その思い込みが積み重なると、医療の質を高める機会を逃してしまいます。
だからこそ、そういった場合も再診していただき、症状の経過を自分の目で確かめることが大切です。良くなった点も、まだ残る症状も直接確認することで、より良い医療につながると考えています。そのためには予め別の疾患の可能性も考え、十分に説明しておくことで、治療効果が不十分であっても再度来院して相談していただく信頼につながるのではないかと考えています。

患者さま一人ひとりを親身に

診療で大切にしているのは、目の前の患者さまを自分に置き換えて考えることです。
忙しさでその視点を見失いそうになることもありますが、意識的に立ち返ることで、自分の診療を整えることができます。
「相手の立場になって向き合うように、一つひとつの処置や説明に誠実であること」それが医療本来の姿だと考え、常に意識して診療にあたっています。

絶対にしないこと

できる限り患者さまのご希望には寄り添いますが、最終的な判断は医師として責任をもって行います。
一時的な満足につながっても、長期的に不利益が生じる可能性がある場合には、患者さまの健康のために「それは違います」ときちんとお伝えします。
大切なのは、その方にとって本当に望ましい医療を選ぶことだと考えています。
力を入れていきたい診療分野はありますか?

補聴器外来

日本では、視力が落ちれば眼鏡をかけるように、聞こえにくさに対して補聴器を使う習慣がまだ十分に根付いていません。高齢の方は「もう少し大丈夫」と先延ばしにされることも多く、抵抗感を抱きやすい傾向があります。
聞こえにくさを放置すると認知機能の低下に影響するという報告もあり、早めの対応が大切です。
当院では専門業者と連携し、補聴器の調整から販売まで一貫してサポートできる体制を整えています。日常の「聞こえづらさ」にしっかり寄り添い、その方に適した補聴器を提案できる環境づくりを進めています。

アレルギー診療と舌下免疫療法

お子さんから大人まで、アレルギー性鼻炎にしっかり対応できる診療を目指しています。私自身もアレルギー性鼻炎を経験しており、症状が続くつらさはよく理解しています。
鼻水や鼻づまりを「仕方ない」と我慢してしまう方も多いですが、適切な治療で本来の症状のない快適な状態を保てます。放置せず、できるだけ改善へ導くことを大切にしています。
また、幼い頃から治療を始めることで、アトピー性皮膚炎や喘息など他のアレルギー疾患の発症を抑える可能性があるとされており、早期治療が重要だと感じています。
当院では、舌下免疫療法や生物学的製剤なども取り入れながら、一人ひとりに適したアレルギー治療を行っていきます。

睡眠時無呼吸症候群(OSAS)

睡眠時無呼吸症候群(OSAS)の検査と治療にも力を入れています。いびきや無呼吸が疑われる場合は、ご自宅で行える簡易検査で状態を確認し、必要に応じて精密検査につなげます。治療はCPAP(持続陽圧呼吸療法)に対応しているほか、鼻づまりや扁桃肥大など、鼻・喉が原因となるケースについても丁寧に評価し、適切な治療へつなげていきます。

めまい診療

めまいは種類も原因もさまざまで、ご自身で判断することは難しい症状です。耳が原因のものもあれば、そうでない場合もあります。私はこれまで多くのめまい症例を診てきましたので、まずは耳鼻科的な原因かどうかを丁寧に見極め、必要な検査や治療につなげていきます。経験を生かし、めまい診療にも力を入れていきたいと考えています。
耳鼻咽喉科はどのような役割を持つ診療科なのでしょうか?

五感を守る診療科

耳鼻咽喉科には、大きく二つの側面があります。そのひとつは、五感のうち「嗅覚・味覚・聴覚」に加えて、体のバランスをつかさどる平衡覚まで、日常に欠かせない感覚を担当しているという点です。
これらの感覚は、生活の不便さだけではなく、人生の楽しみそのものに深く関わっています。高齢になると、視力が落ちたり、聞こえにくくなったり、匂いや味を感じにくくなったりすることで、生活の質が大きく下がってしまいます。
音楽を楽しむ、香りを感じる、食事をおいしく味わうといった、毎日の喜びを支える大切な感覚を守ること。それが、耳鼻咽喉科が担う重要な役割のひとつです。

外界からの入り口を守る

もうひとつの重要な役割は、口や鼻が「外の世界から体の中へと物が入る入り口」であるという点です。
空気や食べ物、水など、私たちが生きるために必要なものはすべてここから取り入れられますが、同時にウイルス・細菌・ホコリなど、体にとって好ましくないものも入り込みやすい場所です。感染症やアレルギーなどのトラブルが多い理由は、この部位が外界との接点にあり、刺激や病原体の影響を受けやすいからです。
毎日の生活の中で、耳鼻科は誰もが必要とする診療科であることを強く感じています。

味覚障害も耳鼻咽喉科で

味覚の低下や変化に気づいた場合も、耳鼻咽喉科で診察することができます。歯科や脳神経内科の領域と重なることもありますが、「どこの科に行くべきか迷う」という場合 でも、まずは気軽に耳鼻咽喉科にご相談いただきたいです。原因の見極めから必要な治療、さらに他科への連携まで一貫してご対応させていただきます。
設備や診療体制の特徴について教えてください

待ち時間を快適に

耳鼻科は風邪症状のある方が多く、待合室が混雑すると不快感や不安につながりやすいと感じています。そのため、できるだけ密集を避け、快適に待っていただける体制づくりを重視しています。
院内では予約システムを整備し、クリニックビル1階の掲示板やスマートフォンから現在の呼び出し番号を確認できるようにしています。呼び出しが近くなるまでは1階の外待合でお過ごしいただけるため、待合室が混雑しにくく、安心して受診いただけます。
会計には自動精算機を導入し、診察券・スマートフォン画面・当日の案内票をかざすだけでスムーズに会計を終えられるようにしています。

正確な診断のための設備

正確な診断を行うためには、必要な検査を行える環境が欠かせません。
当院では、顕微鏡、CT、聴力検査装置、ファイバースコープなど、総合病院と同等の検査機器を導入しています。
特にCTは、副鼻腔炎などの診断精度を大きく左右する重要な設備です。
診断を曖昧にしないための検査体制を整えることで、適切な治療につなげられるよう努めています。
これからの意気込みを聞かせてください

私自身の診療へのこだわり

私自身は、「丁寧な問診、診察、検査で正確な診断をする」、そして患者さま一人ひとりに親身に向き合うことを大切にしています。

クリニック全体としての目標

当院が大切にしているのは、何よりも「患者さまへの温かい対応」です。
体調がすぐれない状態で来られる患者さまが、少しでも安心できる場所でありたいと考えています。
そのためスタッフには、技術よりもまず「人と接することが好きであること」を大切にしてほしいと伝えています。人と接することが好きであれば、自然と温かい対応ができるからです。
また、業務の負担が増えると心の余裕が奪われてしまうため、働きやすい環境づくりにも力を入れています。
「ここなら優しくしてくれる」「説明がわかりやすい」と感じていただけるクリニックでありたい。
特にお子さまは正直ですから、「あそこは嫌」と言われないように、地域に安心して通える存在をめざしています。

最後に、ホームページをご覧の皆様へメッセージをお願いします

このホームページをご覧いただきありがとうございます。
多くの患者さまとの治療経験を積み重ねる中で、地域で安心して通っていただける診療を自分の責任でご提供したいと強く思うようになりました。
その思いが形となり、このたび城東区で開業する運びとなりました。
耳鼻咽喉科は、聞こえ・嗅覚・味覚・平衡感覚といった生活に欠かせない感覚を守り、空気や食物が入る「入り口」を支える、とても大切な診療科です。違和感があっても言葉にしづらい症状が多いため、まず相談していただくことが何より重要です。
私は、患者さまを家族に接するつもりで診察しています。必要な検査や説明を丁寧に行い、安心し納得していただける診療を心がけています。症状に関係のないお悩みでも、できる限り耳を傾けます。皆さまにも「親戚のおじさんに相談する」くらいの気軽さで来ていただければ嬉しく思います。
地域の身近な専門医として、「ここなら安心できる」と思っていただけるクリニックをめざし、これからも丁寧な診療を続けてまいります。
