執筆者
もりクリニック耳鼻咽喉科
院長 森 彰之
経歴
- 2003年3月大阪市立大学医学部医学科卒業
- 2003年5月
− 2005年3月大阪市立大学医学部付属病院 耳鼻咽喉科 - 2005年4月
− 2017年3月南大阪病院 耳鼻咽喉科医員 - 2017年4月
− 2018年3月PL病院 耳鼻咽喉科副部長 - 2018年4月
− 2026年3月八尾徳洲会総合病院 耳鼻咽喉科部長 - 2026年5月もりクリニック耳鼻咽喉科 開院
当院では、難聴に関する診断と治療を行っています。聞こえにくさでお困りの方は、お気軽にご相談ください。
外耳、中耳、内耳、蝸牛神経、そして大脳の見事な連携プレーで音は聞こえます。
耳は3つの部分から成り立っています。
| 外耳 | 中耳 | 内耳 |
|---|---|---|
| 音を集めて鼓膜まで伝える | 音を増幅する | 音の振動を電気信号に変換する |
※表は左右にスクロールして確認することができます。
耳介が空気の振動を集める
鼓膜が空気の振動をキャッチ
耳小骨が振動を増幅する
蝸牛の中のリンパ液が振動
リンパ液の振動により有毛細胞が刺激を受けて、その刺激を電気信号に変える電気信号が、蝸牛の中の神経細胞から蝸牛神経を通って、脳に伝わる
聞こえにくい状態を「難聴」と言います。難聴には原因によって3つの種類があります。
聞こえづらさは、ゆっくり進行する場合と、ある日突然起こる場合があります。
次の症状がある場合は、早めの受診をおすすめします。
| 伝音難聴 | 外耳、中耳に原因のある難聴 |
|---|---|
| 感音難聴 | 内耳、蝸牛神経、脳に原因のある難聴 |
| 混合性難聴 | 伝音難聴と感音難聴の2つが合併した難聴 |
外耳や中耳になんらかの障害があることで起こります。外耳道炎、急性中耳炎などでは一時的な症状である場合も多く、薬物投与などで改善することが多いです。
滲出性中耳炎、鼓膜穿孔(慢性中耳炎)や耳硬化症などでは手術で改善することもあります。治療が難しい場合でも補聴器を装用することで適切な音を内耳に届けられれば、問題なく聞こえることも多いです。
内耳、蝸牛神経、脳の障害によって起こります。
急性難聴は早期の薬物治療等で改善することもあります。また騒音性難聴は予防が重要になります。加齢性難聴などは、治療は困難ですが、補聴器で聞こえを補うことで、認知症予防、生活の質を改善させることができます。また、重度難聴の方には人工内耳手術を行うことで聞こえが戻る可能性があります。
伝音難聴と感音難聴の2つが合併した難聴です。伝音難聴と感音難聴のどちらの症状が強いかは個人差があるため、症状に応じて各種治療や補聴器などを使用します。
難聴になるとさまざまな社会生活に支障をきたします。そして認知症のリスクが大きくなります。
このような場合、補聴器が有効なことがあります。
当院では、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定の補聴器相談医が在籍しており、聴力検査の結果に基づき、適切な補聴器の選択・調整についてアドバイスいたします。補聴器外来も実施しておりますので、お気軽にご相談ください。
40歳代から聴覚の衰えは始まる
加齢性難聴は、40歳代頃から少しずつ聴力が低下し、まず高い音が聞こえにくくなることが特徴です。60歳代では軽度の難聴を自覚する方が増え、70歳を超えると多くの音域で聞こえが低下します。65~74歳では約3人に1人、75歳以上では約半数が難聴の悩みを抱えていると言われています。
原因は、内耳の蝸牛にある「有毛細胞」が加齢によって減少・変性し、音を電気信号に変える働きが弱くなるためです。さらに、内耳から脳へ音を伝える神経の機能低下や、脳の認知処理の衰えも影響すると考えられています。
加齢性難聴そのものを治す治療法はありませんが、補聴器を早い段階から活用することで、聞こえの低下を補い、認知症の予防や生活の質の維持に役立ちます。また、聞こえにくさが年齢以外の病気(中耳炎・騒音性難聴・突発性難聴など)による場合もあるため、「歳のせい」と決めつけずに耳鼻科で検査を受けることが大切です。
耳に優しい生活や、全身の健康を保つことも聴力維持に役立ちます。
聞こえづらさを感じたら、早めに耳鼻科で聴力検査を受け、必要に応じて補聴器を検討しましょう。
小さなお子さまが「難聴の疑い」と言われると、ご家族は大きな不安を抱えるものです。しかし現在は、検査体制・療育・デバイスが大きく進歩しており、早期に対応することで、お子さんの発達やコミュニケーションは十分に伸ばしていくことができます。もりクリニック耳鼻咽喉科でも、ご家族の不安に寄り添いながら、最適なサポートを一緒に考えていきます。
難聴があっても、お子さんの「ことば・コミュニケーション・学び」の可能性が狭まるわけではありません。大切なのは、早期に気づき、適した支援を選択すること。医学的サポートや療育の質は年々向上しており、お子さんのペースに合わせて成長を支えることができます。
新生児聴覚スクリーニングで「要精密検査」と出ることは珍しくありません。この時点では難聴が確定したわけではなく、
をくわしく調べる段階です。
難聴が判明しても、言語発達・社会性・学習はきちんと育っていきます。
大切なのは、お子さんの発達段階に合った支援を早めに始めること。音声言語・手話など、コミュニケーション方法の選択肢も広がっています。
お子さんのコミュニケーション手段には、次のような方法があります。
どれか一つが正解というわけではありません。ご家庭の方針とお子さまの発達・聴力に合わせて決めていきます。もりクリニック耳鼻咽喉科では専門機関とも連携しながら、ご家族にとって納得できる方法を一緒に選択します。
見過ごされやすい難聴ですが、言葉の理解・学習・集中力に影響することがあります。
人工内耳は、生後12か月頃から適応が検討される治療方法で、難聴児の言語発達を支える選択肢の一つです。
2022年に厚生労働省が示した「難聴児の早期発見・早期療育推進のための基本方針」※では、
いずれの方法も子どもの言語として尊重されるべきであり、人工内耳は「音声言語を中心に育てたい」と考えるご家族にとって、有力な選択肢のひとつとされています。
人工内耳は、専門施設での評価と継続的な支援が必要になるため、当院ではご希望に応じて適切な医療機関へ紹介し、以後も連携してサポートしていきます。
※厚生労働省、「難聴児の早期発見・早期療育推進のための基本方針」
人工内耳は、専門施設での評価と継続的な支援が必要になるため、当院ではご希望に応じて適切な医療機関へ紹介し、以後も連携してサポートしていきます。
もりクリニック耳鼻咽喉科でも、ご家族の思いとお子さまの成長を大切にしながら、適切な選択ができるようサポートしていきます。